戻らない時間 2
冷たい息子のからだを抱き起こし、次男と二人、声をあげて泣きました。
悲しくて悲しくて、まだ夢を見ているのではないか。
頭はただポーッとして、家に電話をかけるにも番号を忘れ、かけることもできませんでした。
娘の婿が加賀運送に電話をしてくれましたが、朝六時ころ電話をしたのに、結局、会社の人はだれもその日は大津へは来ませんでした。
いま思えば、こんなきつい仕事は一日も早く辞めるべきだったのです。
そうすれば、こんなことにはならなかったのです。
息子は加賀運送に勤めて四年目でした。
三年目ころからだんだん慣れてきて、移送先もわかってくるようになると、遠いところばかりやらされるようになりました。
眠る時間もとれず、いつも「疲れた」と言って帰ってきていました。
そんなうちはまだよかったのですが、しばらくすると、「眠たいけれど眠れん」と言うようになりました。
夜通し、無理に起きて走りつづけることが当たり前になってしまっているので、いざ眠ろうと思うと神経が高ぶっていて眠れないのです。
眠くても眠れなくなってしまったのです。
毎日そういう状態ですから、睡眠不足になり、だんだん体も悪くなっていきました。
いわゆる不眠症というものなのでしょうか。ストレスがもとになっているみたいですが。